
当院では一般的に行われている根管治療(日本式)の他、高い成功率を誇る「米国式」の根管治療の2つに対応しています。
それぞれのメリットデメリットをお伝えし、患者さんにどちらを選択するかを判断いただいています。
日本式とは「日本の保険制度内」で行う治療です。
保険制度には、利用できる材料や治療にかけられる時間に一定の制限があります。
しかし、米国式の場合は日本の保険制度が適用されませんので(自費治療)、日本式の「制限」をなくした治療が可能になります。
日本式と米国式を簡単に「比較」したものが下記になります。
日本式![]() |
米国式![]() |
|
---|---|---|
ラバーダム利用 | 一般的には×or△ 当院では〇 |
〇 |
利用する道具 | ステンレス ファイル ※精密な治療が 難しい |
ニッケルチタン ファイル ※精密な治療が 可能 |
マイクロスコープ利用 | ×or△ | 〇 |
来院回数 | 4回~8回の 来院 |
1回~3回の 来院 |
治療薬 | ゴム ※再発リスク あり |
MTA ※再発リスクが 低い |
被せ物 | 保険適用の 素材 ※精度が低い |
保険適用外の 素材 ※高精度 |
それぞれの特徴を患者さんにしっかりとご説明し、どの治療法にするかは患者さんに判断いただきます。
どちらを選択されたとしても最善を尽くします。
根管内は非常に暗く、また、ミクロン単位での処置が必要となります。そのため、いかに「可視化」させるかが重要です。
また、根管治療が再発してしまう主な原因は、処置中の細菌感染です。
つまり、「無菌化」も大切なテーマとなります。それぞれご紹介します。
可視化、つまり、「見える化」することがとても大切です。
可視化には「治療前」と「治療中」の2つで行います。
治療前は三次元立体画像撮影装置「CT」による診断。
治療中は、歯科用顕微鏡と呼ばれる「マイクロスコープ」を活用した治療になります。
治療前の診断では、どの医院でもレントゲン撮影を行います。
一般的には「2次元」で撮影しますが、当院では「3次元」で撮影できるCTを利用します。
その理由は、2次元レントゲンでは可視化できる範囲が狭いからです。
例えば次のケースをご覧ください。
この画像は同じ部位をCT(左)と2次元レントゲン(右)で撮影したものになります。
「左の画像」には黒い影がありますが「右の画像」には黒い影がないと思います。
黒い影は「問題が生じている部位」です。
2次元レントゲンだけでの診断では黒い影がないため「問題は生じていない」と判断してしまいます。つまり、その部分の治療は行いません。
そうなると、遅かれ早かれ炎症が広がり、最終的には抜歯の運命をたどることもあります。
最初からCTで診断していればこのようなことは避けることができますので、当院ではCT撮影を行います。
冒頭でもご説明しましたが、根管内は「暗く」「狭く」「分岐」しているため、正直「肉眼」での処置では限界があります。
そこで登場するのが「マイクロスコープ」です。
歯科専用の顕微鏡のようなもので、肉眼より何十倍も視野を拡大した治療が可能になります。
下の画像をご覧ください。
「同じ部位」を肉眼とマイクロスコープで見た際の視野の比較になります。
どちらの方が精度の高い治療ができるかは一目瞭然ですね。
また、マイクロスコープを利用することで次のようなメリットが生まれます。
根管治療とは、根管内の感染部位を除去する治療になるのですが、治療中に唾液が侵入したり、または感染部位の取り残しが原因で治療後に再発してしまう事があります。
逆に言ってしまうと、これらが起きないようにすることで、治療の成功率が一気に上がります。当院で取り組んでいることをご紹介します。
根管内に唾液が入り込まないように、治療部位をゴムのシートで覆います。ラバーダムを利用している医院は全国でも数%です。
感染部位を除去する道具をファイルといいます。
一般的には「ステンレスファイル」を利用するのですが、柔軟性がないため、感染部位をしっかり除去できない事があります。
そこで当院では柔軟性のある「ニッケルチタンファイル」を利用し、感染部位をしっかり除去していきます。
「高濃度次亜塩素酸水」「EDTA」で根管内の削りカスを溶かし、消毒することで根管内をクリーンな状態にします。
根管内の感染部位を除去した後、根管内を塞ぐ工程に入ります。
一般的には「ガッタパ―チャ」と呼ばれる素材を利用するのですが複雑な構造の根管内をこの
ガッタパ―チャでは完全には塞ぎきれないことがあります。
その際には、「MTAセメント」を利用します。根管内を隅々まで緊密に塞ぐことができる他、殺菌作用や歯の組織再生効果もあり、予後が良好になります。
根管治療では「可視化」と「無菌化」が重要になることはご理解いただけたかと思います。
しかし、これだけで終了ではありません。根管治療後には最後の仕上げとして「被せ物」を被せていくのですが、この被せ物の「精度」も治療の成功率に影響を与えます。
精度が悪いと、歯と被せ物に隙間が空き、そこから細菌が入り込み、再発の原因になることがあります。
精度が高い被せ物は、歯と被せ物の隙間がほぼなく、細菌が入り込む余地がありません。
また噛み合わせも調整されており、長期的な問題も回避されます。
下の表をご覧ください。
これは、アメリカの統計になるのですが、根管治療と被せ物の「精度」と「成功率」の違いを表したものになります。
「根管治療」の精度 | 「被せ物」の精度 | 成功率 | |
---|---|---|---|
パターン① | 〇高い 精密度 |
〇自費 | 91.4% |
パターン② | △中度の 精密度 |
〇自費 | 67.6% |
パターン③ | 〇高い 精密度 |
×保険 | 44.1% |
パターン④ | ×低い 精密度 |
×保険 | 18.1% |
「根管治療の精度」も「被せ物の精度」も高い場合の成功率は91.4%。
しかし、両方の精度が低い場合の成功率は18.1%。
その差は73.3%になります。
つまり、治療の成功率を高めるためには「精度の高い根管治療」だけでなく「被せ物の精度」も高めなければりません。
根管治療で来院される方の多くは、何度も再発している方、治療期間がとても長くかかっている方、抜歯と言われてしまった方が多くを占めます。
この方々の多くは、成功率の低い方法で治療がなされている可能性があります。
これは統計でも立証されているのですが、根管治療の回数が増えれば増えるほど成功率は落ちていきます。
つまり、「いかに早い段階で成功率の高い治療を実施している歯科医院で治療するか」が、大切になります。
当院では成功率の高い方法を行っています。
また、治療期間は2~3回ほどとなり、他院で抜歯と言われてしまったケースでも抜歯せずに治療を成功させたことが多くあります。
ご自身の歯を大切にしたい方。
諦めず、ご相談いただけたらと思います。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。